放射温度計
温度が正確に測れない際のトラブルシューティング
測定された温度と実際の温度との間に許容差以上に差がある場合には、以下の項目を確認することで動作が改善されることがあります。まず以下の項目に該当しないかご確認ください。
- 対象物が反射率の高い物体ではありませんか?
- 放射率は正しく設定されていますか?
- 温度測定対象物の放射率が周囲の物体に比べ低くはありませんか?
- 放射温度計レンズが汚れていませんか?
- 放射温度計視野内に障害はありませんか?
- 電気的ノイズの影響を受けていませんか?
- 放射温度計の設置位置は正しく設置されていますか?
- 対象物と放射温度計の距離は適切に設置されていますか?
対象物が反射率の高い物体ではありませんか?
研磨された金属のように反射率の高い物体は赤外線量の測定が難しく放射温度計による温度測定はあまり適しません。接触式温度計をご使用ください。
放射率は正しく設定されていますか?
放射温度計は赤外線を電気信号に変換し、温度測定を行います。放射赤外線強度は物質固有の性質や形状などによって変化するので適切な放射率を温度センサーで選択する必要があります。
各物質の放射率はこちらをご覧ください。
温度測定対象物の放射率が周囲の物体に比べ低くはありませんか?
温度測定対象物の放射率が低いと背景の物体(対象物のすぐ隣や後ろに設置されている暖房装置、炎、粘土質耐火れんが等)によって赤外線が妨げられ温度測定結果を歪めることとなります。
この種の問題はプラスチックフィルムやガラスなど反射率の高い物体や非常に薄い材料を測定する場合に発生します。
測定誤差を最小限まで減らすために、取り付けの際には特別な注意を払い、放射温度計センサヘッドを反射の線源から遮ってください。
放射温度計レンズが汚れていませんか?
レンズの汚れがひどいと、赤外線エネルギーが遮られ、放射温度計は正確に温度測定できません。
常にレンズをクリーンに保つことが重要です。エアパージジャケットはレンズに汚染物質が積もるのを避けるのに役立ちます。
エアパージを使用する場合、放射温度計取り付けに進む前に、クリーンな乾式空気によるろ過空気供給が正確な空気圧力に設置されていることを確認してください。
放射温度計視野内に障害はありませんか?
放射温度計の視野内に障害物等がないか確認してください。視野を遮る物体や、煙、霧、粉塵等の微粒子も測定を妨げる要因になります。
電気的ノイズの影響を受けていませんか?
電気的あるいは電磁的干渉又は「ノイズ」を最小にするために、以下の注意をして下さい。
- 考えられる電気的ノイズ源(例えば負荷が大きく変動するモーター駆動機器など)から出来るだけ遠くに放射温度計を取り付けてください。
- 入力、出力の接続にはシールドケーブルを使用してください。
- 電流の均一化を避けるために、センサヘッドとコミュニケーションボックスの金属ハウジングの間で、等電位化が十分に実現していることを確認してください。
- 接地ループを避けるために、一点のみがグランドされ、放射温度計センサヘッドの先端、あるいはコミュニケーションボックスの金属ハウジングのいずれかを通っていることを確認してください。
放射温度計の設置位置は正しく設置されていますか?
放射温度計の取付け位置はアプリケーションに依存します。
取付け位置を決める前に、周囲環境の温度、環境の雰囲気、取付け位置に考えられる電磁ノイズに注意する必要があります。
エアパージを使う場合は、エアー配管準備が必要です。
配線・配管を敷設する場合、使用するコンピューターの配線や接続を含めて考慮する必要があります。
対象物と放射温度計の距離は適切に設置されていますか?
希望する対象スポットサイズが、最大測定距離を決めます。測定値の誤りを避けるために、対象スポットサイズは、以下図の様に放射温度計のビューの視野を完全に満たしてください。
ある距離におけるスポットサイズは、次の式を用いて計算できます。距離(図のD)を各モデルのD:S比で割ってください。
例えばD:S比が10:1の装置では、放射温度計の測定対象からの距離が400 mmとすれば対象スポット径は400÷10 = 約 40 mmとなります。
適切な放射温度計取付け位置